2007年11月28日水曜日

近いうち里帰りしたい米国永住日本人はいつ申請したらいい?

Q。「今年は12月28日から日本へ行ってみたい。その前にカード更新手続きした方が良いでしょうか。」

A。今のうち更新するように勧める。新しいグリーン・カードは出発日までに届く訳ないけれど、申請手続きでパスポートや古いグリーン・カードを取られることもない。新しいグリーン・カードを入手するまで古いグリーン・カード、更新した証明とパスポートを揃っていけば入国に差し支えないはずだ。もちろん、犯罪などを犯している方は別だ。更新した証明はWEBで申請すれば瞬間的に印刷できる。入国する際に、古いカードの角が切られても気にする必要ない。

2007年11月27日火曜日

無期限グリーン・カードの撤廃?

1979年から1989年8月までの10年間、アメリカの移民局は失効日(expiration date)が書かれていないグリーン・カード(無期限グリーン・カード)を約75万人に発行した。2007年8月22日には、移民局がその無期限グリーン・カードを廃止する提案をした。2008年の春ごろにその提案が法律になると思われる。

しかし、仮に現時点でまだ義務付けられていなくても、無期限グリーン・カードが無効になる前に、更新をした方がいいと思われる。なぜなら、提案法が決定した時点で、75万人の更新者が殺到すると思われるからだ。すると新カードの発行に伴うFBIの調査なども遅れると予想される。つまり、今の内に更新しておいた方が手続きが比較的短くスムーズに行く可能性が高いからである。現時点では、新カードの手続きに要する期間は約6ヶ月間と言われている。

新カードの手続きに関しては、移民局のWEBSITE http://www.uscis.gov/ にアクセスして「I-90」とその説明を参照。http://www.uscis.gov/files/form/i-90.pdf
http://www.uscis.gov/files/form/i-90instr.pdf

新しいカードが発行される前に出国予定があれば、同 http://www.uscis.gov/ で「INFOPASS」にクリックして臨時(6ヶ月有効)永住証明をパスポートにスタンプをしてもらえる。そうすれば、再入国の際に、グリーンカードがなくても、永住権を証明することができる。

2007年11月5日月曜日

ロスト・イン・トランスレーション
訴訟における通訳の重要性

「ロスト・イン・トランスレーション」をご存知であろうか (ビル・マーレイ主演、ソフィア・コッポラ監督)。来日した映画スター(マーレイ)がサントリーウイスキーの宣伝を撮影するシーンである。通訳を介して日本人監督とやり取りする場面は面白い。 通訳は、長々と語った監督の説明を一言の英語で済まそうとする。真剣に理解しようとするマーレイは、「あれ? 監督はもっと長くしゃべっていたように思ったけど…」と困惑する。


CMディレクター: ミスター・ボブさん、あなたは書斎にゆっくりと座っています。そしてテ-ブルの上にはサントリーウィスキーがあります。わかりますね! 感情を込めて。ゆっくりとカメラを見て。やさしく。そして、あなたの古い友達に会うように。言ってください、カサブランカのボギーのように。
「君の瞳に乾杯。サントリータイム」

日本人通訳:  Um, he wants you to turn, look in the camera. Okay? (彼は、振り向いてカメラを見ていただきたいそうです。よろしいでしょうか?)

Bob: That's all he said?  (彼が言ったのはそれだけ?)

日本人通訳:  Yes. Turn to camera.  (そうです。カメラの方を向いてください)

Bob:  All right. Does he want me to turn from the right or turn from the left?  (そうですか。右からと左から、どちらから振り向けば?)

日本人通訳:  あのー、彼の方はもう準備ができています。それで、あの、スタートがかかったときに、カメラの方に振り向くときに、左から振り向けばいいのか、右から振り向けばいいのか、そのへんのところはいかがなさいましょうか? というところなんですけれども。

CMディレクター: どっちだっていいんだよ、そんなの! 関係ないんだから、そんなものは! 時間がないんだよ。 ボブさん。 ね、だからもう早く、テンションあげて。カメラ見て。カメラ目線で。ゆっくりと。ね、パッションだよ。目にはパッション。わかった?

日本人通訳:  Right side, and uh, with intensity. Okay?  (右からです。集中して。よろしいですか?)

Bob:  Is that everything? I mean it seems like he said quite a bit more than that.  (それだけ? 彼はもっといろいろ言ってるように思ったんだけど)

CMディレクター:  あなたの言ってることはウィスキーのことだけじゃないんだから。わかる? 古い友達に会うように。やさしく、Gentlyにね。そして心からわき上がってくるテンション。それを忘れちゃダメだよ。

日本人通訳:  Like an old friend, and into the camera.  (古い友達のように、カメラを見てください)

Bob: OK. 

以上、映画「ロスト・イン・トランスレーション」より抜粋

日本人がアメリカの法廷で証言する場合、母国語である日本語での証言が認められているため、通訳を介しての証言となるのだが、ここで気をつけなければならないのは、「尋問(英語)→和訳→回答(日本語)→英訳」の過程で生じる”ズレ”である。全く違った文化背景から成り立つ2つの言語間では、 当然のように起きる問題だ。

日本人証言者は英語でされた元の質問に対してではなく、当然訳された日本語を元に回答するため、もしも、和訳の過程で”ズレ”が生じた場合、この証言者の回答はもしかしたら元の質問の意味からすると、ちょっと的のはずれた回答となっているかもしれない。 もしくは証言者の回答に対する英訳に”ズレ”が生じた場合、英訳された証言内容は、証言者が本来意図した意味とは違ったものになっている可能性がある。

例えば、「発明者とはどういう意味ですか?」 との質問に、供述者が「何かを考え出した人ということです。」 と答えたところ、通訳者が「someone who has thought about something.」(何かについて考えた人です。)と英訳したことがあった。一般的に”考える”を英語で言うと"think"だが、日本語で”考え出す”と言った場合、それはただ単に”考える”ということではなく、”新しい工夫・着想などを生み出す、考案する”ということであり、"think"よりも"design, create, figure out"などといった表現のほうがピッタリくる。「何かを考え出した人」と「何かについて考えた人」では、その意味がかなり変わってくることは否めない。

このように通訳ひとつで供述内容が変わってしまうことがあり、そして供述記録に残されるのは英語でなされた会話部分のみであることから、訴訟における通訳の果たす役割がいかに大切かということがお解かりいただけることと思う。

依頼人と弁護士のコミュニケーション手段

時代の流れとともに年々改良される交信手段。
言うまでもないが、どの時代においても弁護人・依頼人間のコミュニケーションには、最新の交信手段が用いられてきた。

  • 1840年ごろ・電信が広がる。
  • 1877年ごろ・電話の発明。
  • 1902年ごろ・太平洋に電信線が渡り、地球を一周。
  • 1935年ごろ・「テレックス」が広く使われる。
  • 1990年ごろ・携帯電話が広く普及し始める。
  • 1995年ごろ・電子メールが広く普及。
  • 2000年ごろ・ブラックベーリーの普及。
  • 2005年ごろ・VOIPの普及。

弁護人及び依頼人は、新交信技術誕生の度、情報漏えい等その安全性を懸念し導入に難色を示すものだが、時代の流れには逆らえず、いつのまにか使用するようになっている。

交信手段は将来どのように変わっていくのであろうか。

2007年11月2日金曜日

ワンポイント・アドバイス
供述がビデオに録画される場合

証人の供述がビデオ録画されると事前通知を受けた際には、事前に下記の通り手配することをお勧めする。

  • 個別モニターを手配し、定期的に映像を確認。
  • 必要であれば補助的照明を要求する。下向きの明かりの場合、目が陰になるケースが多い。
  • 音質を守る為、撮影業者にヘッドホンの使用を要求。
  • 証言者の背景は1メートルくらい離れた所に無地で無難な布を使う。
  • 目や顔が陰になっていないことを確認。
  • 顔の映りがぼけていない ことを確認。
  • 証言者の髪が薄い場合、光らないよう注意。
  • 真正面より少しずらした角度から撮影。
  • 回転椅子やロッキング・チェアを使わない。
一般的にな注意

  • 趣味よく鼻先に老眼鏡を乗せる人もいるが止めた方がいい。
  • 手で顔を触ったりしない。
  • 以前は証言者にストイックに、質問されたことしか言わない。単語1つで答えられるのであれば、それ以上しゃべってはいけないと述べたが、ビデオの場合、それは回避的に見えるので十分に答えているように見せる必要がある。(例えば、質問を言い換えるなど。)
  • 飲み物などはビデオに写らない場所におく。
  • 水は控えめに飲む(ボトルではなくグラスから)。
  • 証言者は弁護人を見て許可や指導を求めてはいけない。

男性証言者の場合の注意

  • 青いシャツ。
  • 目立つ宝石を止める。

女性証言者の場合の注意

  • 大きい模様のドレスを避ける。
  • 飾りは品よく。
  • 保守的な物を選ぶ。
  • ボディコンシャス、露出度の高いものは避ける。

ワンポイント・アドバイス 「企業供述」
最終回

以上で企業供述の大筋は分かっていただけたと思う。言うまでもなく、個々のケースにより臨機応変に対応することが必要であるが、少なくとも上記の点を押えておけば、今後の企業供述にあたり、心構えができるのではないだろうか。

ワンポイント・アドバイス 「企業供述」
⑥本番!反対尋問に崩れずしっかりと事実を供述する方法

質問を良く聞く。自分の知識で返事ができる否か。(供述に備えて習得した知識も含め)聞かれていることについて覚えているか否か。返事をする前に間を置き、弁護人に異議を唱える時間を与える。正直に答える。答え終わったらそれ以上しゃべらない。

例えば、「御社は栃木県にいくつ工場があるか」と尋問された場合には、「一つある」と答える。「一つあるが、同業他社に売却される噂ある。」とか「一つあるが、そこでは何も製造してない。」とか「一つあるが、最近工場長が解雇されたようだ」など、聞かれていないことまで答えない。

また、仮定的な尋問には注意が必要だ。例えば、「もしあなたの会社の製品を使用し、事故に遭い死亡した人が一人でもいたら、その製品をリコールするか?」のような仮定的な尋問は、事件を取り巻く様々な要因によって回答が多様化し、正確には答えられないため、弁護人が異議を唱える可能性が高い。(製品と事故には因果関係があるか、使用者が意図的に死亡したか、注意書きを無視して危険な使い方をしたかなどによって回答が変わる。)

こちらが答え終わった後、よく相手側弁護人がジーッと証言者を見つめ何も言わないことがある。これは心理作戦なので注意が必要だ。沈黙が続くと不快に感じ、不必要に証言を付け足してしまう証人が多い。
記憶が曖昧で答えられない場合に、何か言わないと悪いと思い、憶測的な答えを出すということがよくある。憶測は根拠のある推定とは違う。例えば、「あなたの目の前にある机の横幅は何センチ位か」という質問を受けたとしよう。これは、証言者の目の前に机があるため、根拠のある推定が可能と考えられる。しかし相手側弁護士が「私の事務所にある机の横幅は何センチ位か」と質問した場合、証人がその机を見たことがない限りは憶測でしか答えられないため、この回答は根拠のないもので不適切な回答と言える。

ワンポイント・アドバイス 「企業供述」
⑤企業弁護人との供述準備及び模擬尋問

供述者は企業側弁護人と以下のような内容について準備する。

まずは、段取りの説明。日時、場所、参加者とその役割(弁護人、通訳、速記者等)、相手側の素性などを説明する。ビデオ供述の場合には、表情やしぐさなど、外見的なことも詳しくアドバイスする。
次に、証言方法に関する基本的なアドバイスをする(正直に、憶測を言わないなど)。また、口頭異議の意味や目的などについても説明する。
そして、通知項目を逐次読み直し、供述者の知識を確認しながら、問題点や書類などをチェックする。
最後に模擬尋問を行い、相手側の高圧的な質疑等に対し、感情的になったり体勢を崩したりしないよう備える。


供述は「真実であり真実以外の何ものでもない」と宣誓することに始まり、宣誓してから供述が終わるまでの間、嘘をつけば偽証となり証人が罰せられたり、証言に矛盾点があれば弾劾される可能性がある。これを避けるため、充分な準備期間を取り模擬尋問をして本番に備える。


前述1で挙げた衝突事故の際、自動車のエアバッグが開かず怪我をしたBさんが自動車メーカーD社を訴えた例を再び見てみよう。D社の供述者が数年前に行なった別件の供述で、「当該車種を使ったエアバッグの実験はしていません。」と証言したにもかかわらず、今回の供述で「当該車種を使って実験しました。」と言ったとする。証言が変わったことに対し、Bさんの弁護人は、D社の供述の信憑性を問うため、後の裁判の際次のように弾劾する。「先程陪審員の前で、真実であり真実以外の何物でもないと宣誓したことを、もはやお忘れではありませんよね。もう一度確認しますが、エアバッグの実験はしていませんね。」もしここでD社証言者がこれを認めなければ、Bさんの弁護人は次のように反対尋問を行い、さらに証言の信憑性について追及する。
「2003年7月10日に、カリフォルニア州トーランス市マリオットホテル内会議室で供述したことを覚えていますね。今、私が手にしている紙は、その時の御社の証言記録です。もう一度ここで目を通しますか? その時も御社の証言者は今日と同じように、“真実であり真実以外の何物でもない”と宣誓しており、その時の証言は公式裁判速記者によって、全てここに記録されています。あなたは証言記録内容を訂正する機会があったにも関わらず、訂正しませんでしたね。このときの供述では、“当該車種を使ったエアバッグの実験はしていません。”と証言されています。しかし、これは先程おっしゃったことと矛盾しています。つまりあなたは嘘の証言をしたということです。」これに対し、被告側弁護人は反対尋問によって損なわれた証人の信頼を回復するため、反対尋問で取上げられた事項に関する再直接尋問を行う。

ワンポイント・アドバイス 「企業供述」
④供述者の事前準備

まず、企業側弁護人が当該事件の背景も含め、どのような点が追及されるのか、どのような書類について質問されるのかといったことを、企業クライアントに具体的に解説する。
それに対しクライアント側では、弁護人と相談しながら、上記2で述べたように供述者候補を検討し、必要資料を収集する。(多くの場合開示済みの書類を参照) 供述者が決定したら、供述者を通常の職務から解放し、準備に専念できるよう企業側が取り計らう必要がある。
また、関係者から話を聞く場合には、法務部を通した方が、時間的に効率よく準備を進めることができる。

ワンポイント・アドバイス 「企業供述」
③供述者の選択

企業の代理証言ということで、幹部や管理職を選任すべきと思われがちであるが、決してそのようなことはない。会社幹部が必ずしも事情に精通し、的確に供述できるとは限らないからである。また幹部を供述者とした場合、不要に貴重な時間を費やすだけでなく、マスコミなどの注目を必要以上に浴びてしまう恐れさえある。

したがって、技術的な証言の場合は設計者を、金銭的な項目なら経理担当者をといったように、通知の項目に精通している者を供述者として選任することとなる。また場合によっては、項目の内容ごとにそれぞれ二人以上の供述者を選任することもある。

しかし、通知項目について精通している者がいない、もしくはいたとしても何らかの理由で不適切だと思われる場合には、企業の関連書類等を考察したり、当時の事情に詳しい人物から話を聞くなどして、通知内容に関する必要な知識を取得し、企業を代表する証言が的確に出来るよう準備を整えることになる。

また、稀なことではあるが、従業員の中に通知項目に精通し、尚且つ的確な証言ができる者がいない場合、専門家等の外部者を選任し、供述できるよう準備することもある。供述者選任の基準はおよそ次の通りである。まずは、通知項目を熟知し詳細に渡り証言できる人物、追及されても動じない者、率直ながらも必要以上に喋らない者、そして、細かいことだが、癖が少なく愛想や見た目が悪くない人物を選任する。