2007年10月30日火曜日

ワンポイント・アドバイス 「企業供述」
①一般的供述と企業供述の違い

訴訟における「供述」(英語で「deposition」以下「デポ」とも略す)とは、宣誓の下、事件に関する証言をすることで、後の裁判及び審理において「証拠」となるものである。このデポの一種として「企業供述」がある。

一般的なデポとは、事件の当事者もしくは目撃者などが自ら知覚・記憶した事実を述べることで、証拠の一環となるものである。例えば、Aさんが赤信号を無視して交差点に入り、Bさんの運転する車に衝突したとしよう。怪我を負ったBさんがAさんに対して訴訟を起こし、Bさんの弁護人は、警察の事故報告書に記載されていた目撃者Cさんの供述を取ることにした。供述の際、Cさんは自分の見聞きしたことのみに関し真実を答える義務があるため、「Aさんは赤信号を無視して交差点に進入しましたね?」との質問に対し、もしAさんが赤信号を無視して交差点に入り、Bさんの車に衝突したのを見ていたのであれば、「はい。」と答えることになる。しかし、衝突現場は見たが、信号が青だったのか赤だったのかまでは覚えていないのであれば、「わかりません。」と答えることとなる。

これに対し「企業供述」は、企業が訴訟当事者として証言する権利又は義務が生じた場合に行われ、「企業としての知識」(corporate knowledge)を証言するものである。例えば、前述の例で、今度はBさんが衝突事故の際に運転していた自動車の設計欠陥で、エアバッグが開かなかったため怪我をしたという主張で、自動車メーカーD社に訴訟を起こしたとしよう。Bさんの弁護人はD社に対し、当該自動車のエアバッグ設計に関して企業供述をとることとなる。D社はエアバッグ設計に関し、正確かつ詳細に渡り証言できる個人を企業代表の供述者として選任する義務があり、選任された供述者は直接自分で見聞きした知識に留まらず、企業としての知識で供述しなければならない。つまり、Bさんの弁護人が「エアバッグの設計・製造段階で、どのようなテストを行いましたか?」と質問した場合、D社の供述者は、たとえ個人的にどのようなテストが行われたのかを知らなかったとしても、供述前に事件に関わる知識を習得し、これに対し答える義務が生じる。

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